活動報告

私たち東京武蔵野中央ロータリークラブは、さまざまな職業のメンバーが
その経験と知識を生かして社会奉仕活動や人道的活動に取り組んでいます。

「米山月間に因んで~ロータリーとの出会いと日本での生活」(2024/10/10)

卓話

*地区米山奨学委員 金子さん(東京田無RC)にアテンドしていただき、米山月間に因んだ卓話をしていただきました

「米山月間に因んで~ロータリーとの出会いと日本での生活」 

米山学友 崔 立剛さん(紹介 齋藤会員・清本会員)

みなさん、こんにちは。はじめまして、米山学友の崔 立剛と申します。 この度は、地元の武蔵野中央RCで卓話させていただくことができ大変嬉しく思います。私は三鷹市在住ですので、週末は子どもたちと井の頭公園など吉祥寺界隈で遊んだりすることが多いです。ありがたいご縁を頂き皆様のお目にかかれて本当に感謝いたします。

ロータリーとの出会い

私は2007年の4月に留学生として来日しました。学校の推薦によりその年の12月に米山奨学生の選抜面接を受け、数多くの面接者の中から運よく米山奨学生に選ばれました。私は会社員をやめて26 歳来日しました。大人として当然ですが学費も生活費もすべて自分で何とかする前提で留学にきましたが、米山奨学金を頂いたおかげで、経済的な不安がなくなり、学業に専念することができました。そして、月一回のクラブの例会をはじめ、やクラブの親睦活動(登山や日帰りの温泉旅行など)、また地区大会など様々なロータリーイベントを通じてロータリアンのみな様と交流し、本来なら留学生としてなかなか参加することができないとても貴重な経験をさせていただきました。

おかげ様で見聞を広め、内容豊かな留学生活を送ることができました。こうした数々の経験を通して日本の文化や社会をより一層深く知ることができたと思っています。縁もゆかりもない異国の地で心細くいた私がロータリーと出会い、ロータリアンの方々にとても心温かく親切に接してくださったことをずっと感謝していますし、一生忘れることはありません。

当時、私のカウンセラーだった青森 RC の福士盛大先生、2830 地区当時の米山奨学委員長の松本康子様と工藤真人様などなど、みな様と本当にたくさんのかけがえのない思い出ができました。そして、青森を離れる前夜には、青森 RC のみな様が送別会を催してくださり、クラブの会長から「崔さんはこのまままっすぐ行けば絶対大丈夫だ。将来は楽しみだ、応援しているよ。」と励ましの言葉を頂いたことを今でも鮮明に覚えています。上京前に色々と不安を抱える私が背中を強く押してくださいました。そして、カウンセラーの福士盛大先生からは、ご自身で描かれたとっても素敵な奥入瀬渓流の油絵をプレゼントされました。その絵は今も私の会社の事務所に大切に飾っており、その絵を見るたびに青森での留学生活とお世話になったロータリアンのみな様を思い出します。

世話クラブの青森 RC のみな様には本当に大変お世話になりました。 振り返ってみますと、なによりもロータリアンのみな様の立ち振る舞い、社会奉仕の精神と恰好よい生き方と姿には大きな刺激を受け、いつしか自分もそのような人間になりたいと内心で決意しました。

以来、それは私の人生の一つの目標となりました。せっかくですが、恥ずかしいながら本日この場を借りて宣言させていただきますが、いつか自分もロータリアンの一員になることを志していきたいです。ロータリアンにふさわしい実力と品格を身につけるよう、恩返しできる日に向けてこれから地道に邁進していきたいと思います。 私にとっては、ロータリーの魅力は何かといいますと、それはいろんな立派な人と接し、いろんな分野の一流の人たちの話を聞いたり接触したり、自己研鑽、自己発展のヒントを得られたことです。

米山奨学生に選ばれたおかげで、そういう機会に恵まれたのです。いろんな違う世界の人たちとの出会いによって、人生の道が広がりますし、そして生き方も変わっていくこともあると私は信じています。 朱に交われば赤くなる。ロータリーと出会い、ロータリアンの皆様から奉仕という言葉を知り、ロータリー関連の本を読んだりしますと、「最も奉仕するものは、最も報われる」という言葉があります。もちろん日本のことわざに「積善の家に余慶あり」とか、「情けは人の為ならず」など似たような言葉がありますが、奉仕(サーヴィス)、人の役に立つ、社会の役に立つという奉仕(サーヴィス)の精神は、自身の事業遂行にも、幸せな家庭を築くことにもつながっていると思います。日頃からこういう奉仕の精神を心掛けて行動しますと、人の友情、他者の尊敬、自分の満足感など大事なものを得られますし、それが幸せの元になると思います。さらに、人から信用を得て、事業を繁栄させ、社会貢献ができ、豊かな人生を送られると思います。 これらの考え方というか、心に悟りというか、すべてロータリーとの出会いを通じて得られたものです。

日本での生活

2009 年の 3 月は修士課程を修了し、上京しました。就職予定だった会社がリーマンショックの影響で業績不振により分社化となったため、その年度の採用が白紙となり、再就職を余儀なくされました。上京したばかりの私にとっては、まさに青天の霹靂でした。いきなりビザの延長申請、また新たに就職活動、そして生活費稼ぎのためにアルバイト探しなど様々な課題に直面しました。局面を打開する目途が立たず、先の展望も開けない悶々とした日々を過ごしました。苦境続きで心が折れそうな時は何度もありました。それでも、前へ進む希望を失わなかったのが、志半ばで中途半端に中国に戻りたくない、なんとか日本に残って一旗上げたいとその一心で、がむしゃらに何でもやってみると必死に奔走しました。人間、がむしゃらの時ほど強いものはないといまあらためてそう思います。

今となっては、すこし格好つけて言いますと、「若い時の苦労は買ってもせよ」という言葉が思い浮かべます。すべての経験はそれなりの意味があるかもしれません。 どん底に陥った数か月、生活を切り詰め、栄養失調にまた心労が重なり、体重が20キロ以上落ちました。「天は人に大任を下そうとするとき、まずその人の心を苦しめる」という孟子の言葉がありますが、いつもひとりごとでその言葉で自分を励ましました。今経験している様々な試練、これはすべて神様のテストだ、ぼくを試していると、自分を鼓舞したりして、なんとか挫折に負けず、どん底を乗り越え、暗くて長いトンネルを抜けることができました。また、何といっても当時の彼女(いまは人生の伴侶)が苦しい私を支えてくれて、心の拠り所だったなと心から感謝しております。

不遇の中でいろいろと機会を求め、あらゆる可能性を探っていた時に、留学仲間の紹介で横浜の貿易商社に就職しました。来日留学する前は2年間中日合弁企業で国際貿易の仕事をした経験があったので、すぐに仕事に慣れまして、翌年にエリアマネージャーに抜擢されまして、給与も大幅に上がりました。と同時に、長男がその年に生まれ、家族のためにやる気満々で、無我夢中に仕事に没頭する日々を過ごしました。その会社で3年半ほど勤務し、二人目の子ども(長女)が授かったことを機に、2012年の11月に脱サラして独立起業いたしました。理由はとても単純ですが、四人家族となりますと、当時のサラリーマンとしての収入で、4人で生活するのがギリギリだろうと気づき、すこし余裕のある生活を送るにはとても無理だと分かりました。突然の独立に対して、当時は周囲に無謀だと思われる決断でしたが、様々なご縁、いろんな出会いのおかげで、今日に至るまで紆余曲折がありましたが、今月は12期目の決算を迎えました。

昨今の国際情勢(特に日中関係)や為替変動の影響などの影響もあり、大きく発展できず伸び悩んでいるところです。ただ自慢ではありませんが、これまでは赤字決算が、コロナ禍の1回だけありました。 当初の就職活動、そして会社勤務、またその後の独立起業においては、本当に波瀾万丈で、山あり谷ありの道のりでした。人生には上り坂あれば、下り坂あり、そして必ず「まさか」というのがあります。私にとってそのまさかとは途方に暮れる度に、いつも新しいよいご縁と出会いに恵まれることです。勿論、言うまでもなくロータリーとの出会いはそのひとつであります。

一方、私生活の面では順風満帆で、一歩一歩着実に夢をかたちにしました。独立した翌年に日本国の永住権を取得しました。またその2年後に第三子(次女)が生まれて、妻と一男二女の5人家族となりました。5人家族になった翌年(2016年)に、コツコツ貯めた資金で三鷹に戸建てを購入し、ようやく念願のマイホームを手に入れました。

早いもので、来日して夢とともに歩んできて、あっという間に17年半の歳月が流れました。いま振り返ってみますと、ロータリーとの出会いを皮切りに、いろんな場でめぐり合った方々、様々なご縁に恵まれたおかげで、未熟な私がここまで来ることができたと、つくづく実感しております。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

最後になりますが、米山奨学生に選ばれたことは自分の誇りに思いますし、ロータリーから色々と学ばせていただき、得られたものがいまでも私の前進する糧にもなっています。大変僭越ながら、この場をお借りして、本日ここにいらっしゃるロータリアンの皆様に、そして皆さんを通じて日本全国のロータリアンの方々に心より感謝の気持ちを申し上げます。

皆さんの貴重な寄付金のお陰で沢山の米山奨学生が力強く後押しされていると思います。ロータリアンの奉仕活動は、日本に憧れて世界各国からやってきた若者の夢を支えていると思います。その恩恵を受けたひとりの元米山奨学生として、いまは米山学友として、ここに改めて皆様に心より感謝を申し上げたいと思います。本当に誠にありがとうございました。

以上、私の卓話を終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。