「国税庁の組織理念」(2024/5/30)
武蔵野税務署副署長 和田浩枝さん・統括国税調査官 金子哲士さん
1 国税庁の組織理念 和田浩枝さん
(1) 税務行政の運営の考え方【表1】
○国税庁は昭和24年に大蔵省(現財務省)の外局として設置
○国税庁の発足に重要な役割を果たしたハロルド・モス氏から国税庁に一つのスローガンが贈られた。「正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」
(2) 国税庁の機構
○国税庁は財務省に属する外局
○全国11の国税局と沖縄国税事務所が、更にその下に全国524の税務署
○総勢5万6千人ほどの組織
(3) 国税庁の組織理念【表2】
○「使命」、「任務」、「組織として目指す姿」、「行動規範」を取りまとめ、「国税庁の組織理念」として公表
○「任務」3点
⇒「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現」
「酒類業の健全な発達」
「税理士業務の適正な運営の確保」
(4) 税務行政のデジタル化(3つの柱)
○「納税者の利便性の向上」
⇒「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現を目指す
○「課税・徴収事務の効率化・高度化等」
⇒必要性の高い分野や悪質な事案等にマンパワーを重点化し組織としてパフォーマンスを最大化することを目指す
○「事業者のデジタル化促進」
⇒事業者のデジタル化を促進する施策に取り組む
(5) スマートフォンを利用した所得税の申告数【表3】
○令和4年分は249万人で、令和3年分から約1.6倍に
⇒自宅から納税者本人によりe-Taxで申告した方(592万人)のうち、約4割がスマートフォンを利用しており利用者は急速に増加
(6) 納付手続の多様化・キャッシュレス納付【表4】
○振替納税、インターネットバンキングを利用した電子納税、バーコード又はQRコードを利用したコンビニ納付、クレジットカードを利用した納付、e-Taxにより口座振替ができるダイレクト納付、スマートフォンを利用した決済サービス(Pay払い)
2 令和6年度税制改正 金子哲士さん
(1) 所得税・個人住民税の定額減税(個人所得税関係)
○居住者である納税者及びその配偶者を含めた扶養親族1人につき、国の税金である所得税から3万円、地方税である個人住民税から1万円となり、一人あたり合計4万円が減税
○合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円相当)を超える高額所得者は対象外。また、配偶者や扶養親族については生計を一にしていること及び合計所得金額が48万円以下であること。
(2) 賃上げ促進税制の改正(法人課税関係)
○従業員に支払う給与の額を前年と比べて一定割合以上増加した場合、給与の増加金額に応じて法人税の金額を減税できる制度について、改正のポイント3点
①中堅企業向けの制度の新設
②上乗せ措置の見直し・新設
・(見直し)教育訓練費の額が前年と比べて一定割合以上増加した場合に法人税の減税金額を上乗せする制度について要件見直し
・(新設)厚生労働省による女性活躍・子育て支援に関する認定を受けた場合の上乗せ措置が新設
③中小企業の場合の繰越控除の新設
(3) 交際費課税の改正(法人課税関係)
○1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費から除外できる制度について、除外できる飲食費が1人当たり10,000円以下まで拡充