「食を必要とする1人のために」
フードバンクTAMA理事長 神山治之さん(東京八王子南RC)
只今 ご紹介頂きました 国際ロータリー第2750地区、多摩南グループ、東京八王子南ロータリークラブ所属で特定非営利活動法人フードバンクTAMA代表の神山治之と申します。この度は貴重な例会時間を頂戴しました事、深く感謝申し上げます。
ご紹介者の髙橋様とは、2017年にロータリークラブ有志が地区を越えて集まり、貧困問題を考える為、貧困連鎖対策研究会を立ち上げ、3年に渡り意見交換などをし、実行部隊として2019年に「特定非営利活動法人 子どもへの学習支援基金」を発足しました。
この法人の理事として髙橋様と一緒に活動しています。
このご縁より昨年2022年2月4日に貴クラブ東京武蔵野中央ロータリークラブ当時の川村会長と高橋会員にご紹介頂き、日本電信電話株式会社情報ネットワーク総合研究所の立元所長・藤原理事・総務経理グループ長の荘司様を訪ねて、防災備蓄品のアルファ米12,350食の贈呈式を催して頂きました。そのうち900食をフードバンクむさしので、残りの11,450食をフードバンクTAMAで預かり八王子市内の子ども食堂をはじめ、日野市・町田市・立川市・多摩市など多摩地域の施設団体に配布出来ました。大変喜んでくれました。改めてこの場をお借りして 御礼申し上げます。
さて、フードバンクTAMAの立ち上げ経緯ですが…2012年より大田区で気まぐれ八百屋だんだん 近藤博子代表が こども食堂を立ち上げました (現在は 一般社団法人 ともしびatだんだん 近藤博子代表)
このニュースを見て、貧困問題みたいなものは継続が大事 でも、ロータリーは1年毎に会長の任期が終え、八王子の自クラブでは継続事業はあまり多くなく、また、活動している団体へのサポートが奉仕事業のメインとして取り扱われていたりして、貧困問題をRCで支援するには難しい事もわかり、何となくスッキリしない日々が続いていました。
そんな所に 自クラブのパスト会長より 日野に面白い男がいるから と紹介され 今の事務局長の芝田氏とNPOを立ち上げる流れになり2016年にフードバンクTAMAとしてNPO法人成りして6年が過ぎました。
今でこそ SDGsの流れがあり、受贈先も増えましたが、立ち上げ当初はフードバンクとは何? という感じの対応が多く、寄付をもとめても厳しい状況が続いていました…まぁ諦めずにコツコツと活動して現在に至っております。
2012年にこども食堂が立ち上がり、2022年末には 全国で7,331ヵ所に増えています。
ご存じの通り コロナウイルス感染症拡大の影響が2020年より出てきました。集まる事が許されず、子ども食堂は閉鎖され、集めた食品・食材は施設やひとり親世帯支援団体等を通して困窮家庭に配布を続けてきました。
児童福祉施設・子ども食堂等に食料品を配布する 子供に特化した支援をTAMAは引き続き心掛けています。その際、ニーズ等を伺いながら顔の見える支援・血の通った支援を行っています
現在協賛企業・団体は約60社程全てを紹介出来ませんがその中で幾つかご紹介します。
味の素AGF㈱コーヒー等、カルビー㈱ポテトチップス、マルコメ㈱お味噌汁、㈱ローソンお菓子や総菜・クリスマスケーキ、企業側のメリットとして、廃棄コストやCO2削減、フードバンクへの食品提供等の費用は全額損金として扱えて税制改定もあり少しずつ増えて、近年では SDGs持続可能な開発目標の具体的取組もあり更に協賛企業が増えてきました
2019年度までは子ども食堂・児童福祉施設など「子ども」への食支援に重点をおきましたが、2020年度からは新型コロナウイルスまん延に伴い、施設団体・ひとり親家庭支援団体等からの強い要望に応え、フードパントリー事業など個別食支援に軸足を移します。
日野市内でのパントリー配付も立ち上げ時は月に20個程の用意でしたが、2020年秋頃には 月100個以上、2021年の多い月には200個程配付する様になりました。パントリーで配る食料品は、お米3-5㎏、乾麺やパスタ、レトルト、缶詰、お菓子等の直ぐに食べられる物を段ボール箱に詰めて10㎏程になります。最初は困窮家庭・ひとり親世帯をイメージしていました が、高齢者家庭も増え、大学生や若い社会人も引き取りに来られる様になりました。勤務時間数が減らされ、バイトに入れない、業務縮小で人員削減 非正規労働者や学生もコロナ禍で利用が増えました
地域に根差す活動をする事で、子ども達が成長し地元で働く様になれば街は活性化するはずです。少子高齢化で時代を担う子ども達が夢も希望も持てない地域社会では先が見えてしまいます。地域・地元に奉仕する事で、財産である子ども達が輝ける街づくりを目指す活動を一斉に出来れば貧困の連鎖にも一石投じる事が出来ると思います。元の生活に戻るのはまだまだ厳しく、引き続きフードバンク活動は必要とされます。いずれは フードバンクのボランティア活動なども不要な時代が来る事を望みます
子ども食堂などを利用している方々に アンケートをお願いしましたその中から 幾つかご紹介したいと思います
♥節約=食費・家計が厳しいとどうしても食費を節約せざるを得ない。育ち盛りの子どもたちには、美味しい物を食べさせてあげたいのはどこの親も一緒だと思います。子どもたちは、食料品配布の第2、第4月曜日が来るのを楽しみにしているぐらいです。明日だね。今日だね。と。そのぐらい、我が家にとっては、有り難い日。親の食費を削っても、子どもは、小学生高学年になると分かり、母さんが食べなよ と優しい我が子に育ち、おもいっきり満腹感を味わって欲しいと強く願います。海外支援を目にする度に、日本にもまだまだ、支援して欲しい家庭がある事、認知していただきたいと思います。
♥物価高や光熱費、ガソリンの高騰により出費が増加しており、夏休みで子ども達の食事の回数も増え、生活に対する不安があったので、今回子ども食堂の食品配布を申し込みました
♥コロナの影響で正社員失業。それ以降、正社員での仕事が決まらず、パートや派遣でなんとかその日暮らしが続いている状態のため、食品配布には、本当に助けていただいており感謝しております。お米やお野菜、レトルト食品など、いただいたものがなければ、何食も食事を食べられない時もあったと思 います。本当にありがとうございます。いつかこの状況が改善して、余裕が持てるようになったら、 私も助ける寄付をしたりできる側に絶対にまわりたいと決意しております。いつも助けていただきありがとうございます。
♥食料品、光熱費の値上げに生活費も減収の影響で厳しく、大体1品を子供と食べています。朝、子供の身仕度を手伝いながら、お弁当の準備も大変だったので、愛情とおかずたっぷりのお弁当を提供頂き、本当に助かりました。きっと夏休み中多忙だったかと思うと、申し訳ない気持ちもあります。もし、今後も支援頂けるなら寄りかかっても良いですか?見守って頂ける方がいると、ひとり親の心の支えになり、子育てに前向きになれる気がします。
現在では、14市町村・137団体に支援しております。
八王子市・日野市・町田市・多摩市・立川市の各市の社会福祉協議会とも連携を取っていて、食料品の受け渡しを行っております。また、福生市・武蔵野市・昭島市など多摩地域の近隣の市町村の「フードバンク設立」のお手伝いもしていて、いずれは多摩地域の社会福祉協議会やフードバンク団体とネットワークを結び、情報交換や食料品の相互受渡しが出来る様に進めています。併せて 認定NPO法人を目指して 皆様からの寄付金を受けやすくしていきます。認定を取れば寄付金も税制優遇措置があるので…是非とも宜しくお願い致します。また、令和4年度の厚生労働省の補正予算で、「ひとり親家庭等の子どもの食事支援事業」に基づいた助成金事業も行いました。要支援世帯の子ども達を支援する子ども食堂や無料塾等に1団体上限50万円で40団体 二千万円規模の助成事業です。応募多数で泣く泣くお断りをする団体もあり、まだまだ厳しい状況です。
最後になりますが 無償提供のフードバンク活動は、皆様からの会費・寄付金・補助金等で運営されております。それらのお金は、食品の運搬や保管、事務所の光熱費などに使われますし、商品購入もあります。皆様の温かいご支援を何卒宜しくお願い致します。