活動報告

私たち東京武蔵野中央ロータリークラブは、さまざまな職業のメンバーが
その経験と知識を生かして社会奉仕活動や人道的活動に取り組んでいます。

「ロータリアンとしての私と奉仕~イニシエーションスピーチその2」(2023/3/30)

卓話

髙橋榮治副会長

なぜ私は“子どもたち”にこだわるのか

6~7年前だと思いますが、ある児童養護施設の職員の方から次のような話を聞きました

当時、児童養護施設というところがあるという事は知っていましたが、施設の子どもたちの生の声を聴き、愕然としました。児童養護施設は、児童福祉法で、「さまざまな事情を抱えており、家庭では生活できない2~18歳までの児童が生活しているところ」となっています。児童養護施設は、東京都には64施設(都外12施設) 全国で605施設(2018年3月末 厚生労働省資料家庭福祉課調べ)あり、東京都の児童養護施設 約3000人の児童が入所しています。

児童養護施設では、様々な虐待により精神的に病んでいる子どもたちが多くいます。

次の表は、ある都内の児童養護施設の子どもたちの情況です。

18歳で施設を卒園した子どもたちの進路を見てみると、経済的な理由から就職する割合が多くなっています。

そして、卒園した子供たちの現状は?ということをみてみると

子どもたちの現状一点目、親がいない、身近に頼る人がいないこと。

現状二点目、親の愛情を知らない、いわゆる愛着障害の卒園生は、対人コミュニケーションや人間関係の構築が苦手。その結果、職場の社会の場で脳みを相談出来ず、様々な誤解を受けたり、精神的なダメージを受け、社会からドロップアウトして行く。

現状三点目、精神的な理由から傷病手当や生活保護を受けて一度ドロップアウトすると状態が悪化し、塞ぎ込み連絡が途絶えてしまう。その結果、彼等が自力だけで社会復帰する事は現実的に難しい。という状況があります。

児童養護施設の職員の方のお話を聞いたすぐ後、私として、また一人のロータリアンとして何かできないかと考えていた時に、あるNPOの方と知り合いました。この方も、児童養護施設子どもたちの自立のために、卒園する子どもたちの経済的な負担を少しでも軽減するために家具・家電などを寄贈することを考えており、家具・家電などの保管場所について相談を受けました。

この話を受け、たまたま空いていた物件を無償でお貸しするなどして、このNPOの立ち上げと運営をサポートしました。

このNPO法人は、今年度、13の児童養護施設の卒園生44名に家具・家電・パソコンなどを寄贈して、卒園生の自立のサポートを行っています。私も5つの施設の卒園生に対する寄贈式典に出席し、お祝いと励ましの挨拶をさせて頂きました。

また、日本獣医生命科学大学の馬術部の協力を得て、児童養護施設の子どもたちの乗馬体験を行い、また、2月に境南小学校で開催された「境南フェスティバル」の馬術部のイベントに参加しました。

さらに、東京学芸大学のボランティアサークルの協力を得て、児童養護施設の子どもたちの学習支援を行っています。私は、「貧困の連鎖」を何とかして断ち切りたいとも考えています。

さらに、児童養護施設の子どもたちや無料塾に通う子どもたちが将来を考えるキャリアデザインのために、職業紹介のビデオをNPO法人と東京工科大学メデイア学部の学生とともに作成しています。

ビデオは、現在まで6業種(ホテル、飲食、美容院、農業、コンビニ、動物病院)作成し、当クラブでは中川会員に協力いただき、獣医師の仕事についてのビデオを作成しました。現在は、児童養護施設出身の弁護士の方に協力していただき、職業紹介ビデオを作成しています。

私は、これからも“子どもたち“にこだわって、「子どもたちの笑顔のために」地道ですが活動をしていきたいと思っています。これが、私の”アイ・サーブ“です。

サーブから得られる果実は、人によってさまざまなものとなります。 50人のロータリアンがいれば、50通りの解釈や解答の違いが生じても不思議ではありません。

言うまでもなく、ロータリーはアイ・サーブを身上としています。 ロータリーの長所とされる「多様性」「独創性」は、このアイ・サーブを母体として生まれ出たものと考えられます。

現在のロータリーを考えるとき、私は、塚原PDGのこの言葉を噛みしめなければならないと思います。